この体験談はご依頼者様へのインタビューを元に個人情報がわからない程度に修正し、読みやすくしたものとなります。
大学を卒業後、公務員として地味に黙々と生きてきた。与えられた仕事を淡々とこなして、陰ながらサポートする裏方の仕事が私の性格にぴったり合う。ただ、少しくらいは浮いた話があっても良いなぁと思って過ごしていた。
ある日、大学時代の友人からホストクラブに誘われた。私の人生で最も関わることのないキラキラ陽キャたち。当然断るつもりだったのだけれど、押しの弱い私は友人の誘いを断りきることができずホストクラブに遊びに行くことになってしまった。
そして、そこで出会ったホストの彼にのめりこんでしまうことになる。派手な外見からは想像ができないくらい彼の奥底には暗いものがあった。言葉では表現することができないけれど、それは何故か魅力的で、私を引き付ける強い引力があった。
気づくと彼のために必死でお金を稼いで貢ぐ生活になった。昔の私では想像できないくらい生活に張りがでたように思う。日が経つごとに私の外見もホストに通う女性っぽく、少しずつ派手になってきた。少しでも可愛くなろうと整形にも手を出した。
しかし、どれだけ貢いでも彼が私だけのものにはならない状況にフラストレーションが溜まり、彼に対してだんだんときつく当たるようになってきた。初めはあれだけ好きで好きで仕方がなかった人に対して、汚い言葉も吐くようになっていた。ホストに通う生活の中で私の心は段々と変化していたのだと思う。
ある日、被り(担当ホストを指名する他のお客さん)への嫉妬から傷害事件を起こしてしまった。血を見た時に冷静さを取り戻し、やってはいけないことをしてしまったと深く後悔した。幸いにも警察のお世話になることはなくお金で全ての解決をした。
ホストとの問題はお金で解決することができたのだけれど、匿名掲示板では私の個人情報や勤務先、事件のあらましについて、あることないこと書きこまれてしまった。
事件のデジタルタトゥーの削除を弁護士にお願いすることになった。明確なプライバシー侵害や名誉棄損にあたる書き込みは削除してもらうことができた。しかし、ネット社会の怖いところは「一度世に放たれたデジタルタトゥーは簡単には消しきることができない」というところだ。次から次へと転載されてしまう。
弁護士による削除請求ではこれ以上対応することができないが、逆SEO対策なら可能かもしれないと弁護士から告げられた。削除請求にについて調べていた時に見たことのある言葉だったので、試してみることにした。その結果確かに私の名前は検索結果から見えなくなった。
「逆SEO対策は削除と違い根本解決にはならない」のだけれど、検索結果に私の傷害事件の情報が出てこないのは精神的な安定につながっている。
今後はホスト遊びから卒業して、自分の幸せを探して生きていきたいと思う。